美しい興正寺

ガソリン価格が上昇しても、それがすべての財やサービスの価格を上昇させることにはならない。 ある人々は、ヨスト・プッシュはクレジットカードによってその説明の正しさが証明されると主張する。
クレジットカードを利用すれば、価格が上昇したガソリンもそれまで通り買うことができ、また、その他の財やサービスもまた変わらずに買える。 しかし、正貨を基礎としている経済においては、クレジットカードを使う前提として貯蓄がなければならない。
貯蓄がまず行なわれなければ、信用による貸出も行なわれない。 クレジットカードによる追加の消費は、その保有者が消費をせずに貯蓄に回したことによって可能となる。
だからこそ、クレジットカードの利用による物価の上昇は起きない。 すべての財やサービスの価格が一斉に上昇する事態が起こるのは、すべての財やサービスの供給が同時に減少するときを除けば、経済全体で流通している貨幣量が増大したときのみである。
通貨供給量が増大するときのみ、アメリカ国民は、価格が上昇したガソリンも、その他の財やサービスも、それまで通りに購入するために金を使うことができる。 このとき人々は、ガソリンの購入に金がかかるからと言って、他の財やサービスの購入にかかる出費を切り詰める必要がなくなる。

ガソリンとその他の財やサービスの購入に金を使うと、経済全体で消費が増えるので、物価は上昇する。 今現在の法定不換紙幣システムの下では、連邦準備制度だけが通貨供給量を増加させることができる。
この理由から、連邦準備制度には、物価上昇の責任があるのだ。 経済紙など主流派のマスコミは、デフレーションについて、非合理的で、ヒステリーのような懸念を表明している。
「インフレーション」という単語と同じで、「デフレーション」という単語は、二○世紀を通じてその定義が変化してきた。 あるときは通貨供給量の減少のことをデフレーションと言い、現在では、消費者物価の下落を意味する。
通貨供給量の減少という意味でも、消費者物価の下落という意味でも、デフレーションという単語は、現代経済にとっての大きな脅威であると考えられている。 「物品貨幣」への批判の一つに、物品貨幣がデフレーションを防ぐことができない、というものがある。
デフレーションが社会の脅威になっているという主張に反論する人々は、一般的に、金の供給量が年を経るごとに減少しているとは言っていない。 それどころか、金の供給量は少しずつだが増加している。
主張の内容は、金の供給量の増加のペースが、その他の財物の供給のペースに追いついていないということだ。 この結果、物価は下落する。
物価の下落は、経済不況の原因となると考えられてきた。 しかしながら、物価の下落が経済不況の「原因」とはならない。
物価の下落は、発達を続ける市場経済に生じた「結果」である。 物品貨幣が発行されている場合、消費者物価は時間の経過とともに、下落する傾向にある。
通貨供給が、比較的一定であるか、ゆっくり増加する一方で、資本投資と、それに伴う市場経済全体の生産性の向上によって、財やサービスの生産量が増加する。 単純に考えてみると、流通している通貨の量が同じで、財物の量が増えるのだから、物価は下がる。

この健全なプロセスが何か悪いことをもたらすことも、経済にとって問題になることもない。 経済学者Jはこのプロセスは「成長デフレーション」プロセスであったとしている。
この期間、アメリカ経済は成長し、繁栄の極みに達した。 近年の中国もまた「成長デフレーショこの中にある。
一九九八年から二○○一年にかけて中国の小売物価は年間で○・八%から三%の幅で下落している。 同じ期間で、実質GDPは年平均七・六%も成長している。
私たちは、法定不換紙幣が流通する世界で生活している。 そして、物価が年々上がっていくのを目の当たりにしている。
私たちは、物価の上昇は「特別な理由もなく、起こるべくして起きることだ」と考えている。 しかし、法定不換紙幣によってこのようなインフレーションが起こりやすい環境が作り出されていても、ある特定の部門では「成長デフレーション」のプロセスが見られることを指摘したい。
それはハイテク製品においてである。 コンピュータの価格は劇的に下落してきた。
それでも、コンピュータ企業は繁栄を続けている。 一九九九年、コンピュータ産業ではデフレーションが起きていたが、出荷数は四三○○万台に上った。
一九八○年の出荷数は四九万台であった。 一九八○年から一九九九年までの約二○年間で、一メガバイト当たりの価格は九○%も下落した。
消費者は価格の下落によって利益を得た。 経済全体での成長デフレーションは、消費者にとっては利益となる。

生活水準は向上し、投資の増加によって生産性が向上すると、生産物の供給の増加によって物価が下落するからだ。 連邦準備制度は、「物価の下落」という大きな危険からアメリカ国民を救うと約束している。
そのためには何も裏付けのない紙幣をいくらでも刷ることさえ厭わないとしている。 これについて、Pは次のように批判している。
「政府は「物価の安定』などと言っているが、実際は、年間二?三%の物価上昇を容認している。 物価上昇によって、政府は国民が物価下落で得られるはずの利益を奪っている。
また物価の安定という騙しを行ない、それによって、国民から票を買う。 そのために国民から富を奪っている。
簡単に言うと、有権者の生活水準を犠牲にしながら、自分たちが再選されるように仕向けているのだ」物価のデフレーションについては以上としよう。 それでは、通貨供給が減少したら何が起きるだろうか。
例えば、銀行が倒産したら、何の裏付けもなく刷り散らかした紙幣は、銀行とともに消えてなくなってしまう。 物品貨幣の場合、政府は、通貨供給の減少に伴う物価下落を防ぐ方法を持たない。
政府は何とかしようとするだろうが、無駄に終わる。 物価の下落は良いことなのである。

通貨供給の増加によるインフレーションの発生後、需要と供給の実態に合わせた財物の価格が合理的なものになるように再調整が行なわれているとき、政府が通貨供給を操作してしまうと、その結果は、このプロセスを歪め、機能しなくさせてしまうことになる。 さらに言うと、物品貨幣の場合、インフレーションによって物価が高騰することはない。
それは通貨供給量が増加しないからだ。 銀行は、裏付けなしに紙幣を勝手に発行することはできない。
それは、紙幣を金など現物に交換するよう要求されることが多いからだ。 経済活動の減速は物価下落のせいではない。
物価の下落は、インフレーションを伴うバブル景気がはじけたことによって起きることがある。 インフレーションがしばらく続いたあと、物価が下落する。
その際、資本と労働力は新たな生産部門に再配分される。 この経済の再調整プロセスに政府が介入してしまうと、消費者の福利は全く増進されないことになる。
企業家の役割とは、その企業が作る製品に影響を与えるすべての要素を考慮に入れて、経営をすることである。 その要素とは、生産コストや消費者物価だけでなく、通貨供給量、銀行と株式市場の健全性なども含まれる。

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